
できないことを、できるようにしていく力を育てる
私は現在、ピアニストの先生にピアノを習っています。
大人になって改めてピアノを習う中で感じているのは、ピアノを習うということは、ただ「曲を弾けるようにする」ことだけではない、ということです。
自分の好きな分野に向き合い、自分にできる練習をしながら、先生に見ていただく。
その過程で出てきた悩みや疑問を、自分の言葉で先生に説明する。
そして、先生からいただいたアドバイスを、自分の身体にうつして、また練習していく。
それが、ピアノを習うことの大切な部分だと感じています。
実際のレッスンでは、先生から、
「ここはこういう音だから、指をこう使って」
「腕はこう動かして」
「時には身体全体をこう使って音を出して」
というような指導を受けます。
でも、それは聞いたその場ですぐにできるものではありません。
先生の言葉を聞き、それを自分の身体で試してみる。
うまくいかなかったところを家で練習する。
次のレッスンで、どこができるようになったのか、どこがまだうまくいかないのかを話す。
そして質問することで、先生の考え方や身体の使い方をもう一度聞き、少しずつ再現できる状態に近づけていく。
ピアノのレッスンは、そういう積み重ねです。
練習をするまでが大変
ピアノの練習は、決して簡単なものではありません。
まず、自分の一日の時間の中から、ピアノを弾ける時間を見つける必要があります。
遊びたい時間、休みたい時間、ほかにやりたいことがある時間の中で、「少しだけでもピアノを弾こう」と決めること。
これだけでも、子どもにとっては大きな試練です。
ピアノは「楽しいから自然に毎日弾く」という時ばかりではありません。
めんどうくさいと思う日もあります。
気が進まない日もあります。
それでも、
「今日は少しやってみよう」
「ここだけは弾いてみよう」
「先生に言われたところだけやってみよう」
と、自分の気持ちを少しコントロールしていく力が必要になります。
さらに、練習では、自分ができないところに向き合うことになります。
先生から言われたことを思い出しながら、右手だけ、左手だけ、短い部分だけ、何回かくり返してみる。
できないところを、先生の指示にしたがって、回数を積んでいく。
これも子どもにとって簡単なことではないですね。
できないところを何度も弾くのは、楽しいばかりではないからです。
そしてもう一つ大切なのは、自分なりに「できた」「やった」と感じることと、先生から「ここをもう少し直そう」と言われることは、別のものだと理解していくことです。
子どもは、自分では「できた」と思っているのに先生から直されると、
「できていないと言われた」
「自分が否定された」
「がんばったのに認めてもらえなかった」
と感じてしまうことがあります。
でも本当は、先生の指摘は、その子を否定しているのではなく、よりよくするための具体的な助言です。
「自分はがんばった」
「でも、ここはもう少し直すとよくなる」
この2つを分けて考えられるようになることは、ピアノを習う上でとても大切です。
それを何度も説明していっています。
練習とは、
- 時間を見つけること。
- 気持ちを整えること。
- できないところをくり返すこと。
- 先生の指摘を自己否定ではなく、改善点として受け取ること。
そうした力を少しずつ育てていく時間でもあります。