ソレイユピアノ教室

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理想と現実のギャップを埋めるために

ピアノは楽しいもの?という誤解

生徒さんの多くは最初は熱心に練習しますが、時間とともに練習が滞ります。保護者は「やる気のない」子どもとの争いを避けたい、または費用の無駄だと考え、ピアノ教室を辞めることがあります。

これは親が子どものやる気を過信しているからだと思います。

そして、ピアノは楽しいものという認識から、難しくなると「楽しくない」「興味がなくなった」という理由で辞めることが多いのです。

しかしそれをやる気がないと見るのは違うと思います。

「やる気」は単なる「やりたい気持ち」であり、完成までの計画は含まれていません。

ピアノは数年も経つと、予想以上の練習量や予想外の困難に直面し、最初の「やる気」は消えてしまいます。

なぜこうなるのかというと、子どもは苦手なことへの経験が少ないせいだと思います。

なりたい自分に近づくには自分で解決できるプロセスを学ぶこと

理想と現実のギャップを埋めるには、まず自分の理想と現状を把握していきます。ピアノの場合、自分のなりたい目標を立てます。その動機は「かっこいいから」「友達に自慢したいから」など何でも構いません。ただし、この目標を達成するための練習計画を立て、それを継続することは子どもにとって難しい課題です。漠然とした憧れと実際の練習との間にある大きな隔たりから、「楽しくない」「つまらない」「興味が続かない」という気持ちが生まれてくるからです。

この時点で保護者は「楽しくなくなった」と判断しがちですが、子どもも親も「なぜ練習が嫌なのか」を深く理解できていません。家庭内でそこまでの対話を避けてしまうこともありますが、その理由は、子どもが「面倒くさい」「つまらない」という表面的な感情を超えて、本当の理由—難しい課題への不安や、思うように上達できないことへの焦りなど—を言葉にできないからです。このような状況で「練習しないからやめさせます」という判断を下してしまうと、子どもは自分の真の理由を考える機会を失い、そのままピアノを終えてしまうことになります。

しかしそれは、これまでの努力で身につけた貴重な技術を手放すだけでなく、困難に直面した時に立ち止まって考え、乗り越えていく大切な学びの機会も失ってしまいます。練習ができなくて困っているとしても、それはお子さん本人の課題です。お子さんが自分で解決していくプロセスこそが大切だと考えています。

審判練習から見えてきた「苦手意識」

私が理想と現実のギャップに気づくきっかけとなったのは、娘のバドミントンクラブの審判練習でした。経験がない私は不安でしたが、この経験で気づいたのは、私は好きなことだけを選んできた結果、苦手なことから逃げてきた自分でした。重要な役割を任されたことで勇気を出して練習を重ね、実際の大会でコーチから「ナイスジャッジ」と言われた時の喜びは今でも鮮明です。

入部当時の会長さんが「杉山さんは一生懸命審判練習に来ていますよね。私は子どもの頃から部活でやっていたから知っているだけです。でも杉山さんは全くの初心者なのに頑張っていますよね」と声をかけてくださいました。その言葉で、不安を抱えながら練習に来ていた私が認められたような気がして、とても嬉しく思いました。

この経験を通じて、私は、生徒の努力を認め、それを伝えることで、子どもたちは努力することの価値を理解するようになると実感しました。結果以上に、努力を重ねた後に残る自信こそが、子どもたちの成長を支えていきます。

私の考える本当のやる気とは「目標を実現するために具体的な方法を見出し、環境を整え、計画に従って達成していく力」です。

レッスンでは、練習をしたくない理由を丁寧に探り、共感しながら励ましています。限られた時間の中で、時には練習を避けたい気持ちと向き合いながらも、できる限りの努力を重ねていく—そのプロセスを支援していきたいと思います。

生徒の苦悩に寄り添うのは確かに大変ですが、ただ「練習しなさい」と言われて「はい、します」と従順に答えるだけの生徒では、この仕事の本当の面白さは感じられません。

 

私は自分がものすごく「素直」で「まじめ」で「一所懸命」なんだなーと思った出来事でした。ピアノにはとても必要な要素だと思います笑