Q楽譜を読まずに弾いてしまうことがあるのですが、良いのでしょうか。
聴覚が得意な子供は、簡単な曲ならすぐに覚えて楽譜を見ずに弾くようになります。しかし、その方法を続けていると、自分の聞く力では限界のある楽曲に直面したときに困るでしょう。
楽譜を追いながら曲を弾けるようになると次のような利点があります:
- 短時間で多くの曲を読み弾くことができるようになる
- 鍵盤感覚が身につき、鍵盤を移動するときも感覚で止まらず弾ける
- 聴覚を活用して、強弱や音色を考慮できるようになる
楽譜を見る順序は通常、次のようになります
1. 楽譜を目で見る(少し先を見て予測をする)
2. 手に指示を出す
3. 手で鍵盤を触る
4. 出した音を耳で聞く
5. 楽譜と合っているか確認する
暗譜は視覚情報を取り除き、曲の流れに従って身体を動かし、音色に集中している状態です。
手を見ていても、手を動かす順序を考えているわけではありません。
むしろ、段階によって手を見て弾いているのはそれぞれ、違いがあります。
a.はじめの頃に手を見ている
場所や手の動きを見ています。
b.弾けるようになってから手を見ている
指ではたどれない離れた音を弾く場合にのみがベストです。
c.ほぼ暗譜の状態で下を見ている
手を見ているのではなく聴覚優位で音を聴いているだけなので、ぼーっとしています。
暗譜は、手の動きを覚えているというよりも、頭で鳴っている音楽を聴いて体の動きを予測しています。
レッスンでは、楽譜を目で確認し、音の高さやリズムを声に出して歌ったり読んだりします。その後、鍵盤を見て、どの角度で指が当たっているか、指が通る道の地図を作ります。
そして、その地図をたどりながら、なめらかに弾くための演奏技術を使っていきます。
次に、手の動きを目を使わずに感覚だけで練習していきます。
鍵盤を見て弾くことのデメリットは以下の通りです:
1. ワーキングメモリが満杯になり、脳疲労を引き起こす
2. 曲によっては、長時間の反復練習が必要で覚えられない
3. 練習をやめると忘れてしまう
4. 聴覚が使えないので音を外すことが多い
5. 音符が読めなくなる
ワーキングメモリとは、現在行っていることと過去の記憶を忘れずに保持していることを指します。
頭の記憶には容量制限があります。一方、体の記憶には容量制限がないのです。例えば、30年習字をしていない人が、ある時習字を始めた。その時に筆を持つフォームを覚えているのと同じように、体の記憶は多くの情報を「使う時」に集結して組み合わせます。
レッスンでは、生徒の視線も見ながらチェックしています。